フェロモントラップの設置方法と注意点

フェロモントラップの設置方法と注意点

気温が高くなるとあちこちで発生する蛾(ガ)。
あたりをただ飛び回るだけなら害はないのですが、問題は畑の作物に卵を産み付けることです。

「作物の葉っぱが気づくとボロボロに・・・」
「いつの間にか葉に卵のようなものがたくさん産み付けられている!」

畑や庭で野菜を育てている方は、こんな経験をされたことが何度かありますよね?
この葉っぱの卵や葉の虫食い、実は、あたりを飛び回っている蛾が原因であることがほとんなんです。

そこで今回は、葉の虫食いの元凶となる蛾の成虫を減らすための「フェロモントラップ」についてご紹介します。畑を飛び回る蛾を退治して、作物を虫食いから守りましょう!

 

フェロモントラップとは?

フェロモントラップとは、オスの蛾をメスのフェロモンの匂いで引き寄せ、捕獲する仕掛けです。蛾の成虫の数を減らすことで、畑の中に産み付けられる卵の量を減らすことを目的としています。
フェロモン剤の効果は1か月半程度なので、蛾が大量にが発生する梅雨明け頃に設置するとよいでしょう。
一度設置するだけで、夏の間中効果が持続するのは嬉しいですね。

また、フェロモントラップは虫害の発生予察用としても利用できます。
いくらトラップを設置しても、全ての蛾を捕獲することは不可能でしょう。しかし、トラップの中にオスの成虫が入った日が確認できれば、その後卵を産み付けられる時期を予測することが可能です。その時期をみはからって卵や幼虫の殺虫剤を散布すれば、作物を食害から守ることができるのです。

 

フェロモントラップ製品紹介

現在一般的に広く利用されているのはこのタイプのフェロモンルアー(トラップの容器)です。※容器とは別売のフェロモン剤を購入する必要があります。

フェロモントラップの設置方法と注意点│画像4

この容器にフェロモン剤をセットし、10aあたり1~2基設置します。すると、匂いに誘引されてオスの蛾が近寄ってくるのです。そして、狭い入口からトラップに入った蛾は再び外に出られなくなる、とうい仕掛けになっています。

フェロモントラップの設置方法と注意点│画像3
フェロモン剤

 

誘引される主な害虫

フェロモントラップを設置すると、以下のような害虫を誘引・捕殺する効果が期待できます。

・ヨトウムシ(ハスモトヨトウ・シロイモジヨトウ)
・コナガ
・オオタバコガ
・ヤシオオオサゾウムシ

 

フェロモントラップの設置方法

設置方法はとっても簡単!次の3ステップを参考にしてください。

1.フェロモンルアーとフェロモン剤を用意する。

2.フェロモンルアーにフェロモン剤をセットする。容器の下の部分には水を入れ、中性洗剤を1~2滴たらしておく。

フェロモントラップの設置方法と注意点│画像1
ルアートラップのこの部分にフェロモン剤を入れておく

3.トラップが高さ1~1.5mになるよう、支柱などを利用して畑の周りに設置する。

フェロモントラップの設置方法と注意点│画像2
圃場に設置したところ 作物から5m以上離し、風上に設置する

 

設置場所のポイント

フェロモントラップは、設置場所がその効果を左右する重要なポイントになります。以下の3点を必ず守って設置してください。

・作物から5m以上離すこと
・作物の風上に設置すること
・夜間照明のないところに設置すること

フェロモントラップを誤って畑の中や作物のすぐ近くに設置すると、大量の蛾を畑に引き寄せてしまうことになり、逆に被害が拡大してしまいます。作物から5m以上離れた畑の風上に設置しておくと、畑の中にいたオスの成虫が匂いを感知して、トラップがある場所に移動してきます。

また、夜間照明が近くにあるとオスの行動が光によって攪乱されてしまいます。そうなると蛾がうまくトラップに入ってくれませんので、夜間は暗くなるところに設置しましょう。

 

効果について

梅雨明け以降の蛾が大量に発生する時期であれば、一晩で7~8匹の成虫を捕獲することができます。フェロモントラップは一度設置すると1か月半程度は効果がが持続します。

 

フェロモントラップまとめ

フェロモントラップには以下の2つの効果が期待できることがおわかりいただけたでしょうか。

・蛾の成虫を誘引・捕殺する
・産卵時期を予察する

フェロモントラップを設置しておけば、畑の害虫密度を減少させ、被害発生時期を的確に予想することが可能です。そのため、農薬散布回数が減るので作業が省力化でき、結果的に減農薬にもつながります。

虫の食害を最小限に抑えながら、安全な作物を栽培するために、夏の暑い時期はフェロモントラップをぜひ活用してみてください。

 

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