生産性を向上させる促成栽培,半促成栽培,早熟栽培の特徴と違い

生産性を向上させる促成栽培,半促成栽培,早熟栽培の特徴と違い

生産性を向上させる促成栽培,半促成栽培,早熟栽培の特徴と違い│画像1

農作物を育てる方法にはさまざまなものがあります。露地栽培は、畑に植えて農作物を植え、自然に任せて栽培する方法を指します。

施設栽培の場合は畑ではなく、農作物を栽培するための施設を用意し、温度や湿度など農作物に必要な環境をコントロールして育てる方法です。

さまざまな栽培方法がありますが、本記事では「生産性を向上させる」促成栽培、半促成栽培、早熟栽培の特徴と違うについてご紹介していきます。これらの栽培方法について詳しく説明する前に、それぞれの違いを簡潔に紹介します。

栽培方法 特徴
促成栽培 全栽培期間を保温・加温
抑制栽培 露地栽培の収穫期を遅らせる。
半促成栽培 栽培期間の前半を保温・加温
早熟栽培 育苗期間のみ保温・加温

促成栽培

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促成栽培とは、いわゆる露地栽培よりも成長~出荷までを早める栽培方法のことを指します。

普通よりも早くに収穫するため、温度などを人工的に調整することで生育・発育を促します。ビニールハウスや音質などを利用することが一般的で、夏野菜を春に、春野菜を冬に出荷することが多いです。出荷時期を早めることで、「通常その季節には出回らない」という商品価値が生まれ、その農作物の商品価値を高めることにつながります。

デメリットとしては、人工的に農作物の生育・発育を促進するがゆえ、温度調整に利用する暖房機材などの費用がかかることが挙げられます。しかし促成栽培で育てた農作物は、市場取引での価格が高いため、生産コストも高ければ得られる収益も高いと言えます。

促成栽培で有名な産地は、宮崎県や高知県、東京近郊であれば茨城県や栃木県が挙げられます。中でも宮崎平野や高知平野は、中学校の社会科学州で取り上げられるほど有名な地域です。きゅうりやナスなどの夏野菜が有名です。

促成栽培と真逆のものとして「抑制栽培」があります。抑制栽培は促成栽培とは違い、遅くに出荷することができる栽培方法です。その土地の冷涼な気候を生かし、ほかの地域よりも遅く出荷することができるのが特徴です。

 

 

半促成栽培と早熟栽培

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先で紹介した促成栽培の他に「半促成栽培」と「早熟栽培」がありますが、これらは従来よりも早めに出荷される程度によって分けられていると言えます。例えばきゅうりの場合、促成栽培だと

11月:種まき
12月:定植
1~6月:収穫

となります。半促成栽培の場合、

2月:種まき
3月:定植
4~9月:収穫

とし、「生育を早める」という目的は促成栽培と変わりありませんが、生育の後半にはハウスで覆うのをやめ、露地で栽培します。生育前半のみ保温・加温を行うことで、生育時期を早めたことによる生育障害(枯死等)のリスクを避けつつ、自然環境下で育てます。

早熟栽培は、育苗時のみ温床内で栽培します。苗を植えるときには、自然環境下で育てることになりますから、十分栽培できる気温にならない限り植えにくいと言えます。そのため、その収穫と出荷時期は、露地栽培のものに比べると早く、促成栽培・半促成栽培のものに比べると遅くなります。

 

 

作型の必要性について

さまざまな栽培方法がありますが、このような「作型」が生じるのには理由があります。「作型」の存在意義は、消費者が「周年的供給」を求めているからと言えます。自然環境下で育てても、農作物は収穫できます。しかし生産時期は限定され、旬の時期以外にその農作物にお目にかかることは難しいと言えます。また野菜は我が国の主要食物であるコメと違い、生鮮貯蔵を行うことができません。そこで促成栽培などの栽培方法が役に立ちます。寒さを嫌う農作物のために、ハウス内で暖かい温度を提供すれば、極端な話、真冬でも夏野菜が楽しめるのです。

「消費者の要望に答える」という点で、促成栽培・半促成栽培・早熟栽培の意義が伝わったのではないかと思います。もちろんどのような野菜を作るか、どのような品種を用いるかによって、促成栽培などを行う施設栽培がいいか、自然環境下で育てる露地栽培が良いかは変わってきます。「生業」としての目線と「消費者のために安心・安全な野菜を届ける」という目線、その両方をふまえながら最適な栽培方法を選択できるといいですね。

 

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