つるぼけとは、スイカやカボチャなどのつる(蔓)もの植物において、つるや葉ばかりが過剰に茂り、スイカやカボチャでは着果や果実肥大が悪くなったり、サツマイモでは塊根の肥大や収量が低下したりする状態を指します。
つるぼけはなぜ起こる?

つるぼけは養分(特に窒素)が多すぎると起こります。
まず知っておきたい内容として「栄養生長」と「生殖生長」があります。簡単にいうと、栄養生長は、まず自分自身の体をつくるための生長で、生殖生長は子孫を残すための生長です。植物の場合は、茎葉や根の生長が栄養生長、花芽を形成して開花・結実するのが生殖生長です。
この栄養生長と生殖生長は、環境によってその進行具合が変わります。自分の体をつくるのに適した環境下では栄養生長を、適さない環境下になると子孫を残すための生殖生長に進みます。よって、過剰な栄養や作物に対して過保護気味な環境となると、生殖生長には進みにくくなります。
なお、栄養生長と生殖生長は完全に切り替わるものではなく、果菜類では両方が並行して進みます。ただし、窒素が多すぎるなどして栄養生長が強くなりすぎると、開花や着果とのバランスが崩れることがあります。
さて、スイカやカボチャなどのつるもの植物ですが、本来、まず葉やつるを伸ばして光合成をする体をつくり、その後、花を咲かせて実を太らせていきます。ただし、前述した通り、窒素肥料が効きすぎると栄養生長が優勢になり、雌花の発生や着果、果実肥大が不安定になることがあります。
また、水分が多すぎる、日照が不足する、株間が狭くて葉が混み合う、といった条件も、つるや葉の過繁茂を助長します。
つるぼけを起こさないための施肥管理

つるぼけを防ぐためには、窒素を効かせすぎないことが大切です。植え付け直後はある程度の葉やつるを育てる必要がありますが、着果前に窒素が強く効きすぎると、作物はつるや葉を伸ばす方向に進みやすくなってしまうため、元肥、とくに窒素成分は控えめを意識します。
スイカの場合、窒素は生育初期につる数を確保するために必要ですが、雌花開花期や着果初期に強く効くとつるぼけになりやすいとされています。したがって、元肥を一度に多く入れるのではなく、土の肥え具合や前作の残肥を見て調整することが重要です。堆肥や有機質肥料を多く入れた畑では、見た目以上に窒素が後から効いてくることもあるため、注意してください。
カボチャは吸肥力が強い作物のため、元肥が多いと葉が大きく茂り、着果が悪くなります。施肥量は標準量を守り、肥沃な畑ではさらに控えめにします。追肥は、着果を確認してから行うのが基本です。実がつく前に追肥を重ねると、よりつるぼけが進むことがあります。
なお、肥料設計では、窒素だけでなく、実の肥大に関わるカリウムとのバランスも大切です。土壌診断ができる場合は、診断結果をもとに施肥量を決めると、勘に頼らない管理がしやすくなります。
つるぼけが発生してしまったら

まず行うべきことは、窒素肥料の追加を止めることです。特に、窒素を含む化成肥料、液肥、未熟な有機物の追加は控えます。
次に、株の勢いを落ち着かせ、光と風が入るようにします。ただし、つるや葉をむやみに切って草勢を落とそうとするのは避け、品種や栽培方式に応じた基本の仕立て方を確認し、残す予定のないわき芽やつるだけを整理してください。一度に葉を取りすぎると光合成する力が落ち、実の肥大にも影響するため、株の整理は少しずつ行ってください。
水分管理も見直します。土が常に湿りすぎていると、肥料の効きが続きやすく、つるの勢いが止まりにくくなります。過湿の畑では排水をよくし、水やりをしている場合は土の乾き具合を見ながら控えめにします。
そのうえで、雌花が咲いたら人工授粉を行い、着果を助けます。実がつき始めると、植物のエネルギーの使い道がつるや葉から果実へ移り、草勢が落ち着くことがあります。着果が確認できた後は、株の状態を見ながら、必要に応じて少量ずつ追肥し、果実肥大を支えてください。
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