国産オリーブ栽培に挑戦するなら、知っておきたい基礎知識【前編】

国産オリーブ栽培に挑戦するなら、知っておきたい基礎知識【前編】

消費者の健康志向が高まり、オリーブオイルの健康効果がメディアなどで取り上げられたことで、オリーブの需要が広がっています。

需要拡大に伴い、国産オリーブ栽培に挑戦する地域が増えつつあります。国産オリーブといえば「香川県小豆島産」が一大ブランドとなっていますが、九州や瀬戸内海沿岸だけでなく、関東地方でもオリーブ栽培が行われています。

本記事ではそんな注目集まるオリーブの基礎知識について紹介していきます。

 

 

オリーブの基礎知識、栽培管理について

国産オリーブ栽培に挑戦するなら、知っておきたい基礎知識【前編】|画像1

 

地中海沿岸が原産の、モクセイ科オリーブ属に分類される常緑高木です。5〜6月に開花時期を迎え、1つの花房に直径3mmほどの白い小花が房状につき、10〜30輪咲きます。油分を多く含む果実は、オリーブオイルの原料となります。

気象条件

地中海沿岸を原産とするオリーブは、日照量が多いほど生育が良いと言われています。

  • 年間2000時間以上の日射量
  • 年間1000mm程度の降水量

が適当とされ、年平均気温14〜16℃の暖地が生育に向いています。

とはいえ、オリーブの生育には日射量だけでなく寒暖差も重要です。

オリーブは「低温要求性※」が強い果樹です。

※低温要求性とは、ある一定量の低温にさらされることで自発休眠が打破され、他発休眠に移行する性質のこと。オリーブの他、モモやブルーベリーなどの果樹やイチゴなどの野菜にも見られますが、温度や光などの外的要因が生育に適していない場合に「自発休眠」が起こります。「他発休眠」は徐々に休眠が浅くなり、生育に適した環境条件になれば生長が再開する段階を指します。

オリーブは、1月の平均気温が10℃以下にならないと花芽がつきにくい特性があります。そのような性質から、成木であれば、短時間なら氷点下10℃にも耐えられる耐寒性があります。

土壌条件

オリーブは通気性が良く、保水力・保肥力のある土壌を好みます。耕作放棄地などを活用してオリーブを栽培する地域も増えていますが、このような条件から、水田跡地などは不向きです。

植え付け

新しい鞘が出る前の春(3月)が最適時期です。地中海では10mを超えるものもあるぐらい、樹高が大きくなる植物なので、成長を加味して、十分な間隔を開けて植え付けます。植え付け後は支柱を立てて誘引します。

オリーブは風害に遭いやすく、根が浅いために倒伏や根痛みが発生したり、強風で果実が落ちてしまったり損傷したりするので、防風対策はしっかり行いましょう。

それから、オリーブは「自家不和合性※」が強い品種でもあります。

※自家不和合性とは、自分の花粉ではなく、他個体の花粉でだけ受粉する受精システムのこと。自分の花粉以外の花粉でないと、花粉管が伸びず受精できないようになっています。

よって受粉樹として別の品種を混植しましょう。

水やり

オリーブは乾燥に強い植物ではありますが、水分を必要としないわけではありません。

1年を通して、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。特に花芽がつく冬と花が咲き、実をつける時期には、水分が少ないと花の数や果実の質に影響が出てしまうので注意が必要です。乾燥する地域では、株元を腐葉土などを使って覆うことをおすすめします。

剪定

オリーブの根が休眠している12〜3月頃に行います。その以外の時期に行っても問題はありませんが、真夏は避けましょう。剪定をしないと、枝や葉が混み合ってしまい、日光が届かなくなったり、風通しが悪くなったりして樹勢の衰えにつながります。

ただし、花芽は前年春に伸びた新しい枝につくため、その枝を切ってしまうと果実がつかなくなってしまうので注意してください。

剪定すべき枝は

  • 内向きのもの
  • 枯れているもの
  • 1ヵ所から何本も出ているもの
  • 重なり合ってこすれているもの

など。剪定時、剪定後の切り口や移植や強風などでついてしまった傷の癒合を促すため、切り口に専用の殺菌剤などを塗布するのもおすすめです。

施肥と防除

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大量の肥料が必要な樹木ではありませんが、定期的な施肥を行いましょう。施肥に最適なタイミングは以下の通りです。

  • 3月中旬(芽吹き前)
  • 6月下旬(開花後)
  • 10月下旬(休眠前)

栄養不足かどうかは葉の色で分かります(葉がやや黄色みがかってきたら、栄養不足のサイン)。様子をみながら肥料を与えましょう。土壌pH矯正として適量の苦土石灰も用意しましょう。

オリーブの主な病虫害は

  • オリーブアナアキゾウムシによる食害
  • 炭そ病

が挙げられます。炭そ病はカビの一種が招く病気で、葉や実に円形の病斑が発生します。葉は穴が空き枯死しますし、実は腐ったようになって落ちてしまいます。

いずれも適切な時期に農薬による防除を行うか、オリーブアナアキゾウムシは補殺、炭そ病対策は、まずしっかりと剪定を行い、日当たりと風当たりを良くすることが重要です。

炭そ病が発生してしまった場合には、雨が降った時、雨水に胞子が溶け出して感染を広げるため、早めに収穫することで被害拡大を防ぎます。

 

参考文献

  1. 『農業ビジネス ベジ 2019 vol.25 春号』,2019年5月30日,イカロス出版
  2. オリーブ栽培管理の手引き
  3. 果樹の生育変化と異常
  4. 低温要求時間とは?|みんなのひろば|日本植物生理学会
  5. 今さら聞けない野菜発育のメカニズム
  6. オリーブの育て方|オリーブに果実をつけさせるには?
  7. 日本でもできる!オリーブの木の栽培方法や育て方〔ガーデニング・園芸〕All about
  8. 生態|炭そ病を恐れない|早めの発見と対策。適切な処置を施すために
  9. 自家不和合性とは? – 中高校生が第一線の研究者を訪問

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