農業機械の浸水対策と、もし浸水してしまった時の正しい対応

農業機械の浸水対策と、もし浸水してしまった時の正しい対応

近年、台風や豪雨による農業機械の浸水被害が全国で報告されています。農業機械が水没してしまうと、エンジンや電装系の故障、金属部品のサビ、さらに泥や砂の詰まりといったトラブルが発生します。修理には数十万円から数百万円の費用がかかることも多く、買い替えが必要になることも。そうなると、農作業の大幅な遅延や収穫ロスが生じ、農家にとっては大きな経済的打撃となります。

 

 

浸水リスクを事前に把握する

農業機械の浸水対策と、もし浸水してしまった時の正しい対応|画像1

 

浸水被害を防ぐためには、リスクを正しく把握することが重要です。

市町村が公表する「浸水想定区域図」やハザードマップを活用することで、豪雨や河川氾濫時にどの程度浸水する可能性があるかを確認することができます。また、過去の水害履歴や浸水実績を調べることで、危険性の高いエリアを把握することができます。

さらに、機械を保管している倉庫の立地条件も確認しておきます。河川近くや低地にある倉庫は浸水リスクが高く、対策が必要になるからです。

 

 

農業機械の浸水対策(事前準備編)

農業機械の浸水対策と、もし浸水してしまった時の正しい対応|画像2

 

保管場所の工夫

農業機械が浸水するのを避ける方法として、機械を高台に移動する、倉庫自体のかさ上げや止水板の設置もおすすめです。

機械ごとの浸水防止策

トラクターはエンジンの吸気口や排気口を防水キャップで覆い、泥水の侵入を防ぎます。田植え機・コンバインもまた、専用の泥水侵入防止カバーを装着し、内部への泥や水の混入を防ぎます。

乾燥機・精米機は感電防止のため、豪雨の前に必ず電源を遮断してください。

保険・補助制度の活用

万が一に備えて、農機具保険や火災保険(水害補償付き)の契約内容の確認をおすすめします。自治体によっては、防災対策にかかる費用を補助する制度を設けている場合がありますので、地域の農業協同組合や役場に問い合わせてみてください。

浸水の危険が迫ったときの緊急対応

浸水が予想される場合は、移動可能な小型機械から順に高台や安全な場所へ避難させます。大型機械は移動が難しいため、ビニールシートや防水テープで吸排気口や電装部分を覆い、簡易的に防水処理を施します。また、電気機器は必ず電源を落とし、漏電や感電を防ぐことが重要です。

 

 

もし浸水してしまったら(事後対応編)

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安全確認

まずは現場の安全を最優先に考えて行動を起こします。水が引いた後でも感電や火災の危険があるため、機械の近くに立ち入る際は十分注意してください。特に電動機器については、自己判断で電源を入れないでください。

応急処置と専門業者への依頼

浸水した農業機械は、すぐにエンジンを始動してはいけません。内部に泥や水が残っていると、故障をさらに悪化させる恐れがあります。まずは外部の泥を洗い流し、内部の水を排出することが重要です。その後、潤滑油や燃料を交換し、機械が乾燥してから専門業者に点検・修理を依頼します。

この際、修理費用が新品購入に近い場合や、電装系が深刻に損傷している場合は廃棄を検討する必要があります。一方で、早期に適切な対応をすれば、修理によって再利用可能なケースもあります。判断に迷う場合は、JAやメーカーに相談するのが安心です。

すぐに実行できるチェックリスト

浸水の危険が迫ったときには慌てずに、落ち着いて行動します。まずは電源を切り、移動や簡易防水を行うことが被害を最小限に抑えるポイントです。万が一浸水してしまった場合も、自己判断でエンジンを始動せず、早期に専門業者へ相談することが復旧への近道です。

最後に、農家の皆さんがすぐに実行できるチェックリストを紹介します。

  • 倉庫や保管場所の立地を確認する
  • 保険契約の内容を見直す
  • 緊急時の連絡先(JA・メーカー・修理業者)を控えておく

自然災害のリスクは避けられませんが、事前の備えと冷静な対応で、農業機械を守ることが可能です。

 

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