Jクレジット制度の活用。農業収益と環境貢献の両立に役立つ!?

Jクレジット制度の活用。農業収益と環境貢献の両立に役立つ!?

「Jクレジット制度」とは、温室効果ガスの排出削減や吸収量を数値化・認証し、その価値を「クレジット」として取引できる制度で、農業分野でも活用が進んでいます。

 

 

Jクレジット制度の概要

Jクレジット制度の活用。農業収益と環境貢献の両立に役立つ!?|画像1

 

Jクレジット制度は、国が推進する温室効果ガス削減の仕組みです。企業や自治体、農業者などが排出削減や吸収に取り組み、その成果を国の基準で認証。クレジット(排出削減量や吸収量)として市場で売買できます。これにより、環境に配慮した活動が「見える化」され、経済的な価値に変換されるのが特徴です。

農業とJクレジットの関係

農業はCO2排出源である一方、適切な農法で土壌に炭素を蓄えることができるカーボンシンク(炭素吸収源)としても注目されています。

クレジット対象となり得る具体的な取り組みは以下の通り。

  • 有機物の適正還元(堆肥利用など)による土壌炭素蓄積
  • 節減型農機具や省エネルギー型施設の導入
  • メタン排出抑制(畜産分野)

農業分野でJクレジットの対象となる代表的な活動例には以下のものがあげられます。

取り組み内容

炭素削減・吸収のメカニズム 備考

堆肥や有機物の土壌還元

土壌中の有機炭素増加によるCO2吸収

土壌分析と計測が必要

低燃費トラクター導入

燃料消費削減によるCO2排出削減

機器の仕様証明が必要

メタン発酵槽の設置

畜産糞尿のメタン排出抑制

大型施設向け

水田の水管理改善 メタン生成抑制

乾田化などが該当

これらは国の定める技術基準に基づき計測・報告され、審査を経て認証されます。

クレジット発行の手順

  1. 取り組みの計画策定
  2. 申請・審査
  3. クレジットの認証・発行
  4. クレジットの売買・活用

まず、農業経営体や組織が、Jクレジット対象の取り組み内容・規模を具体的に決定し、計画書を作成します。

次に計画を所管の地方環境事務所に申請し、技術的審査や現地調査を受けます。計測方法や報告体制が適切かがチェックされます。

温室効果ガス排出削減・吸収量が認められた場合、認証書が発行され、それに基づきクレジットが付与されます。発行されたクレジットは、市場や仲介業者を通じて企業や自治体に販売可能です。農業経営にとっては新たな収益源となります。

 

 

実例紹介

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クレジットはトン単位のCO2換算で取引され、企業は自社の温室効果ガス排出量削減義務やCSR活動の一環として購入します。農業者は、日々の営農活動の中で生まれた削減・吸収実績を「見える化」し、クレジット化することで収益を得ることが可能です。

たとえば、ある北海道の酪農農家はメタン発酵槽を導入し、発生メタンガスを回収。これによりメタン排出量を大幅に削減し、Jクレジットを取得。クレジット販売収入を設備費の返済に充てています。

有機栽培の稲作農家の場合、堆肥の活用による土壌炭素蓄積を定量評価し、クレジット発行に成功。農産物のブランド価値向上と環境貢献をアピールしています。

 

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