日本の農業技術が世界で活躍!?世界で活躍する日本の農業技術まとめ

日本の農業技術が世界で活躍!?世界で活躍する日本の農業技術まとめ

世界の農業は、国や地域によって規模も作目も異なりますが、人手不足、熟練者の減少、水不足、肥料・農薬の最適化、収穫後に発生するロスなど、共通の課題があります。そんな中、日本が培ってきた現場起点の技術が、世界で注目を集めています。

 

 

世界に広がる日本の農業技術

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農業ソフトウェア企業の事例

北海道帯広市に本拠を置く農業ソフトウェア企業は、スマートフォンと低価格GPS機器を組み合わせた農作業支援アプリを開発し、世界の農業現場で存在感を高めています。専用の高額な自動操舵システムを導入しなくても、手元のスマートフォンでトラクター作業の直進性や作業幅を可視化できる仕組みを整えた点が大きな特徴です。

従来、農業機械の自動操舵や精密作業には高額な専用機器が必要でした。しかしこの企業は、誰もが持っているスマートフォンを活用することで導入コストを大幅に抑えています。農家は既存のトラクターに低価格のGPS機器を取り付けるだけで、走行ラインや作業軌跡を画面上で確認できます。

このアプリはすでに140カ国以上で利用されていると報告されています。ダウンロードの多くが海外からであり、特に農地面積が広大な国々では、作業の効率化や燃料削減効果が評価されています。この技術は日本国内向けのニッチではなく、世界標準として受け入れられているといえます。

海外で広がった背景には、以下の要因があげられます。

  • 低コストで導入できる:高額な農業機械を購入できない中小規模農家でも導入可能。
  • 直感的に使える設計:専門的なIT知識がなくても扱える操作性。

農業テック企業の事例

兵庫県内に本社を置く農業テック企業は、衛星データとAI(人工知能)を活用して農地の状態を解析する技術を開発し、国内外で注目を集めています。この企業の強みは、人工衛星から取得した画像データをAIで解析し、農地の利用状況や作付け状況、生育傾向などを可視化する点にあります。広域に点在する農地を、現地に足を運ばなくても把握できるため、行政や金融機関、農業関連企業など多様な主体が活用できる基盤技術となっています。

世界には、農地の境界が不明確であったり、正確な農地台帳が整備されていなかったりする課題を抱えた国があります。衛星データの活用は、耕作地の把握や未利用地の特定を可能にします。

同社が最初に本格的な海外展開を行ったのはインドです。インドは農業従事者が多く、小規模農家が多数を占める一方で、農地管理や収量向上に関する情報基盤が十分とはいえない地域もあります。現地では、単に技術を販売するのではなく、パートナー企業や関係機関と連携し、地域事情に合わせた運用モデルを構築。衛星解析による農地データを、行政や金融機関と共有することで、農家が融資を受けやすくする仕組みづくりにも貢献しています。

この企業の取り組みが評価されている背景には、以下の要因があげられます。

  • 広域を一度に把握できる効率性:衛星データは広範囲を網羅できるため、大規模な国土を持つ国でも活用しやすい。
  • 客観データによる透明性の向上:農地の利用状況や耕作実態を客観的に把握できるため、行政・金融・流通分野との連携が進みやすい。
  • 社会課題解決型のビジネスモデル:農家の所得向上や金融アクセス改善といった社会課題と直結している点が国際的に評価されている

花卉栽培支援の事例

ジェトロ(日本貿易振興機構)のレポートによれば、東南アジアのミャンマーは農業従事者の割合が高い一方で、生産性や品質の面では課題を抱えている状況にあります。特に、栽培管理や品質基準の考え方が十分に浸透しておらず、収量はあっても高付加価値化につながりにくい構造があると報告されています。

こうした背景のもと、2020年1月から花卉栽培を対象とした支援事業が開始されました。この取り組みでは、日本品質の農業資材を導入するだけではなく、栽培方法の改善指導や品質管理の徹底を含めた支援が行われています。具体的には、日本で培われた花卉栽培の管理手法をもとに、施肥設計や栽培環境の整備、品質選別の考え方などを体系的に伝える形がとられました。その結果、「品質の高い作物を作れば高く売れる」という市場原理への理解が徐々に浸透し、現地生産者の意識変化にもつながっている、とあります。

水不足・土壌劣化に挑む事例

気候変動の影響が深刻化するなか、水資源の確保と土壌環境の改善は、世界の農業に共通する重要課題となっています。こうした課題に対し、株式会社カクイチ(以下、カクイチ)のナノバブル技術が、ウクライナにおいて実証展開された事例があります。

ナノバブルとは、直径が1μm未満の極めて微細な気泡を水中に発生させる技術です。ナノバブルは水中に長時間とどまりやすい特徴があります。この特徴を活かして灌漑水の質を向上させることで、根域環境の改善や作物生育の安定化に寄与する可能性があるとされています。カクイチではこのナノバブル発生装置を用いた事業として、農業灌漑用ホースとナノバブル発生装置を組み合わせたシステムを提供しています。

同社はロシアの侵攻により荒廃したウクライナの農地復興支援プロジェクトにナノバブル技術で参加しています。ウクライナ国内では、ある農場で同社のナノバブル発生装置を導入した結果、灌漑の効率向上により作物収量が20〜25%増加したとの報告があります。

2026年2月にはビジネス情報番組『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)でも取り上げられ、戦禍で消耗した土壌の再生にナノバブル技術が用いられている様子が放映されています。なお、同社はキーウに現地法人を設立。ナノバブル技術を現地に根付かせる体制を整えています。

 

 

まとめ

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ここまでの事例を整理すると、世界で評価されやすい日本の農業技術は次の領域に集約できるのではないでしょうか。

  • 省力化・省人化:スマート農業、ロボット、作業支援アプリなど
  • 資源最適化:施肥・防除のムダ削減、水管理の高度化など
  • 高付加価値化(品質・加工・流通):栽培指導による品質向上、収穫後工程の改善など

本記事では、低コスト化で導入障壁を下げる、データで効果を見せる、指導・運用まで含めて提供するなどの事例を紹介してきました。日本の農業技術が世界で活躍するには、最先端であることもさることながら、「現地の条件に合わせて使えること」「導入までの仕組みがあること」が鍵といえます。

 

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