リモート(遠隔)での農業は可能か。リモート農業の事例と副業としての農業について

リモート(遠隔)での農業は可能か。リモート農業の事例と副業としての農業について

新型コロナウイルス感染拡大の影響で「リモート(遠隔)ワーク」がグッと広まりました。しかしテレワーク※の導入は、業務の性質上適している職種もあれば、適さない職種もあります。国土交通省の調査結果によると、雇用型・自営型ともに「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」はテレワーカーの割合が高く、一方で「医療・福祉」「宿泊業・飲食業」そして「農林水産・鉱業」ではテレワーカーの割合が低い結果となっています。

農業分野においてリモートワークは非現実的なのでしょうか。

※リモートワークとテレワーク
リモートワークは「remote(=遠隔・遠い)+work(=働く)」、テレワークは「tele(=離れた)+work(=働く)」を組み合わせた造語であり、組み合わされた言葉は異なるものの、意味は同じです。

リモートワークは“「テレワーク」に同じ。(出典元:小学館 デジタル大辞泉)”とあり、テレワークは“ICT(情報通信技術)などを利用して、自宅など、職場以外の所で業務を行うこと。(出典元:小学館 デジタル大辞泉)”という意味です。

以降、本記事では「リモートワーク」に統一します。

 

 

農業そのもののリモートワーク化は難しい!?

リモート(遠隔)での農業は可能か。リモート農業の事例と副業としての農業について|画像1

 

農業経営の業務の中には、リモートワークが可能と思われるものと難しいと思われるものがあります。

リモートワークが可能と思われる業務には「経理・会計業務」「資材調達」「出荷・販売」が挙げられます。まず経理・会計業務は、農業用会計ソフトや国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用すれば完全在宅業務は可能です。資材調達も通信販売の活用により在宅で行うことができます。出荷・販売は、インターネットを活用した消費者への直接販売によってリモートによるコミュニケーションが可能となります(関連URL:ネット販売|農業メディア|Think and GROWRICCI)。

一方で、リモートワークが難しいと思われる業務には「農産物の生産・管理」「収穫・出荷調整作業」が挙げられます。とはいえ近年では、完全在宅業務化はまだ難しいかもしれませんが、作業の機械化・省力化は進んでいます。たとえば位置情報を活用して自動走行するトラクタや田植機、AI・画像認識を利用した自動走行型の収穫ロボットが開発されています。現時点では、安全性確保のために監視者を配置する必要があるため、完全在宅での遠隔作業は行われていませんが、リモートワーク化は進んでいると考えられます。

現時点でのリモート農業の事例

2021年8月に農研機構が公開した『通い農業支援システム』は、先で紹介した農作業の機械化によりリモートワーク化が進んだ事例といえます。農研機構はビニールハウス内の情報をお手持ちのスマートフォンで遠隔監視できるシステムの制作マニュアルを公開しました。

安価かつ簡便にハウスの遠隔監視に使えるIoT機器「通い農業支援システム」製作マニュアル(農研機構)PDF

これを導入すれば、スマートフォンを利用して遠隔地からハウス内の温度、湿度、土壌水分などを確認することができ、ハウス栽培の管理にかかる負荷を軽減することができます。

「リモート農業」や「テレワーク+農業」のキーワードで検索した際に目に入るのが、オンライン上での農業体験です。これは実際に行われる農作業は現地のスタッフが行うことになるため、「農産物の生産・管理や収穫・出荷調整作業がリモートワーク化されたもの」とはいえませんが、消費者や農業に関心のある人たちと農業従事者の距離を縮めるのに一役買っています。

またあらゆる産業のリモートワークを推進する佐賀県では、農業コンサルタントが農業従事者に指導を行う際、スマートグラス(カメラ機能付きのメガネ型通信機器)を用いて、遠隔地から指導を行い、リモートワークを実現しています。

 

 

農作業のリモートワークではないものの…

リモート(遠隔)での農業は可能か。リモート農業の事例と副業としての農業について|画像2

 

農作業のリモートワークではありませんが、コロナ禍でリモートワークが普及したことで、副業としての農業が注目を集めています。2020年10月16日に公開された読売新聞オンラインの記事では、新潟県十日町市に拠点を移した経営者が副業としてコメ農家を始めた事例が紹介されています。

テレワーク+農業、米どころで旗揚げ…「相性いい」新たな働き方提案:読売新聞オンライン

本業の仕事(拠点は東京)を全てリモートワークで行い、毎日早朝2時間程度を副業の農作業にあてています。

新型コロナウイルス感染拡大による働き方への影響が、今後どれだけ続くのか、まだ先行きは見えません。ですが、「本業をリモートワークで、空いた時間に副業の農業を」という働き方は今後も広がっていくかもしれません。

 

参考文献

  1. リモート農業の時代は来るのか
  2. 「農家の仕事はテレワークできない」は思い込み?ハイテク技術で広がる農業の可能性
  3. 農業にもテレワーク コロナ禍の試みが思わぬ地域の活性化に|読むらじる|NHKジャーナル
  4. テレワーク+農業、米どころで旗揚げ…「相性いい」新たな働き方提案:読売新聞オンライン
  5. リモートワークがニッポン農業を救う、シェア畑調査にみる近未来|株式会社アグリメディア

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