害獣モグラ対策【前編】まずはモグラの生態を掴もう!

害獣モグラ対策【前編】まずはモグラの生態を掴もう!

農業関係の人から「害獣」と呼ばれているモグラ。

モグラはミミズやコガネムシの幼虫、ネキリムシやヨトウムシなどを食べる肉食の動物であり、農作物を食べてしまうことはありません。

しかし地下に棲むモグラが土を掘り返すことで農作物が傷んだり、益虫のミミズが食べられてしまったり、ネズミなど他の害虫がモグラの巣に入り、農作物を食べてしまったりとモグラがいることで起こる被害はたくさんあります。

そこで本記事では、モグラの生態を掴んださまざまな対策法をご紹介していきます。前編では、特徴的なモグラの生態についてまとめます。

 

 

モグラの生態を掴む!

害獣モグラ対策【前編】まずはモグラの生態を掴もう!|画像1

 

モグラ対策を実行する前に、モグラの生態を知っておきましょう。あらかじめ生態を知っておけば、効率よく罠を仕掛けることができます。

モグラの嗅覚は鋭い

モグラの目はほとんど見えません。土の中で生活するため、土が目に入らないよう、眼は小型で体毛の中に埋まっています。皮膚に眼が埋もれている種もいます。目が見えない分、嗅覚が発達しており、ニオイに敏感なのが特徴です。

モグラ対策法には、この“ニオイに敏感”な特徴を生かしたものが多々あります

モグラは大食い

モグラは大食漢です。1日に食べるエサの重さは体重の半分くらいと言われており、胃の中に12時間以上食べ物がないと餓死してしまいます。

またモグラは縄張り意識が強く、モグラ同士が鉢合わせすると、どちらかが逃げるか、死ぬまでケンカします。時々、モグラが地上で死んでいることがありますが、これは縄張り争いで負け、地上に追い出され、餓死したものと考えられています。

罠で捕獲する場合、罠にかかってすぐに取り出してしまうとモグラはすぐに逃げ出します。しかし罠にかかった後1日置いておけば、“12時間以上食べ物がないと餓死”するため、処理しやすくなります。

モグラのすみかは広い

地下に棲むモグラのすみかは広く、トンネルの長さは70〜300mと言われています。トンネルにはさまざまな道が張り巡らされており、罠を仕掛けても捕獲できない場所、捕獲できる場所があります。

まず地上でモグラの存在を把握できる特徴的な「モグラ塚」は、モグラがトンネルを掘るのに邪魔になった土です。モグラ塚はモグラのトンネルを探すのに役立ちます。そこからモグラのトンネルを探り、その特徴を把握すれば、どこに罠を仕掛けるべきかがわかります。

幹道(本道)
…モグラの巣に通じる道。モグラが確実に通る道ではあるものの、地下30〜50cmの深さにつくられるため、罠を仕掛けるのは難しい。

生活道(本道)
…エサを探したり、トンネルの補修をしたりするのに使われる道。一定期間連続して使われることも多いため、罠を仕掛けるならここ!

探餌道
…エサを探すために掘ったトンネルだが、一度しか使わないことが多く、行き止まりになっていることも多い。ここに罠を仕掛けても捕獲はできない。

本道と探餌道の特徴をふまえれば、見つけたトンネルが本道なのか探餌道なのかを探ることができます。まず見つけたトンネルを潰します。潰しても復活しない場合には、一度しか使われていない探餌道ということになります。潰しても潰しても復活する場合は、“一定期間連続して使われることも多い”本道です。

ただ、見つけたトンネルをそのまま潰す(土で埋め戻す)と、どこにあったか忘れてしまう可能性があります。その場合には、廃材の板と川砂を使うと本道探しが簡単になります。

  1. 廃材の板を畑に敷く
  2. 板を敷いた下にモグラが通った跡が残る
  3. モグラが通った跡を川砂で埋め戻す
  4. 廃材の板を元に戻す

その道が探餌道の場合には、再度板を敷いた下の道が川砂で埋め戻されたままに、本道の場合には再び跡が残っているはずです。

またモグラが通ったであろう道に細い竹を挿し、本道を見つける方法もあります。そこが本道であれば、モグラは複数回そこを通ります。竹が挿さっている道を通るたび、竹は傾きますから、3回くらいそれが続けば、そこが本道である可能性が高まります。

後編では、上記の生態、特徴を活かした対策法をご紹介していきます。

 

参考文献

  1. 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編, 『動物大百科 6巻 有袋類ほか』, 1986年11月1日, 平凡社
  2. 『現代農業 2018年05月号』, 2018年5月1日, 一般社団法人 農山漁村文化協会
  3. TBSラジオ編, 『もっと!科学の宝箱 もっと!人に話したくなる25の「すごい」豆知識, 2014年7月16日, 講談社
  4. 井上雅央・秋山雅世, 『モグラ おもしろ生態とかしこい防ぎ方』, 2010年7月1日, 農文協

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