今さら聞けないC/N比。高いとどうなる?低いとどうなる?

今さら聞けないC/N比。高いとどうなる?低いとどうなる?

堆肥や有機質肥料を選ぶときに目にする「C/N比」という言葉。土づくりに関係する数値とは知っていても、どう参考にすればよいのか、迷う方もいるのではないでしょうか。C/N比は、有機物の分解や窒素の供給を考えるための指標となります。

 

 

C/N比とは

今さら聞けないC/N比。高いとどうなる?低いとどうなる?|画像1

 

C/N比は、有機物や土壌に含まれる炭素(C)の量を窒素(N)の量で割った値です。「炭素率」とも呼ばれます。値が高いほど窒素に対して炭素が多く、低いほど炭素に対して窒素が多いことを表します。

この比率が重要なのは、有機物を分解する微生物が、炭素と窒素の両方を必要とするためです。炭素は主に活動のエネルギー源となり、窒素は微生物の体をつくるタンパク質などの材料になります。堆肥や作物残さを土に入れることは、微生物にこれらの材料を供給することでもあります。

微生物によって有機物が分解されると、有機物中の窒素の一部がアンモニア態窒素や硝酸態窒素へ変わります。この「無機化」によって、窒素が作物に利用されやすくなります。

C/N比が高いと、窒素不足が起こることがある

C/N比が高い有機物では、微生物が利用する炭素に対して窒素が不足しやすくなります。分解の際に微生物が周囲の土壌から窒素を取り込むと、作物が利用できる窒素が一時的に減少します。これが窒素飢餓です。

有機物を入れたのに作物の生育が鈍るのは、作物と微生物が利用する窒素の配分が変わるためです。概ねC/N比20以上の堆肥で、施用直後に土壌中の無機態窒素が減る場合があるとされています(C/N比が20を超えると必ず窒素飢餓が起こるという意味ではありません)。

なお、稲わらのC/N比は50〜80、落ち葉は30〜50程度とされています。こうした資材を利用する際は、施用量や作付けまでの期間に注意します。稲わらなどを定植直前に多量に施用すると、作物の生育を抑制する場合があります。こうした資材を利用する際には腐熟の進んだものが推奨されます。

一方、分解が緩やかな有機物は土に残りやすく、継続的な施用によって土壌の物理性を改善する効果が期待できます。よって、C/N比の高い資材は、窒素をすぐに供給する用途よりも、時間をかけた土づくりに向く場合があります。

C/N比が低いと、窒素を供給しやすくなる

C/N比が低い有機物は、炭素に対して窒素が多く、一般に分解に伴って窒素を供給しやすい資材です。鶏ふんなどはその代表で、炭素率が低く比較的速効性があります。

ただし、C/N比が低いほど優れているというわけではありません。肥料成分の多い堆肥を化学肥料に上乗せして施用すると、養分が過剰になる可能性があります。そのため、窒素以外の養分、リン酸やカリなどの供給量にも目を向ける必要があります。

また、堆肥に含まれる窒素の全量が、その作のうちに利用されるわけではありません。資材の窒素含有量と、実際に肥料として効く量を分けて考え、作物別の施肥基準に沿って施肥量を調整してください。

理想のC/N比はあるのか

堆肥づくりの原料におけるC/N比は25〜40程度が目安です。堆肥づくりでは、有機物を分解する微生物が活発に働けるよう、原料の炭素と窒素のバランスを整えます。たとえば窒素の多い家畜ふんに、炭素の多い稲わらなどを組み合わせて調整します。

とはいえ、C/N比が適切であっても、水分が多すぎて空気が通らなかったり、乾燥しすぎたりすると分解は進みません。堆肥づくりにおいては、C/N比は目安として活用し、水分調整や切り返しなどの作業も必要です。

堆肥化が進むと、炭素の一部が微生物の呼吸によって二酸化炭素として放出され、一般にC/N比は下がっていきます。完成した堆肥のC/N比の目安は15〜20とされています。

もちろん、すべての堆肥に同じ基準を当てはめることはできません。たとえば、家畜ふん堆肥はC/N比30以下、できれば20以下が望ましいですが、バーク堆肥(樹木の皮を粉砕し、発酵・熟成させたもの)など木質原料を多く含む堆肥は家畜ふん主体のものとは性質が異なりますから、C/N比35〜40以下が望ましいとされています。

なお、前述にて、“堆肥づくりにおいては、C/N比は目安として活用し”と記しましたが、堆肥が完熟しているかどうかをC/N比だけで判断するのも避けてください。完熟度合いは、原料や発酵の経過も含めて確認することが大切です。

 

 

C/N比はあくまでも目安として活用する

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C/N比だけで、有機物が十分にあるか、作物に窒素が十分供給されるかを判断することはできません。また、C/N比の数値だけから病原菌の増減や病害の発生を断定することはできません。圃場の状態は、C/N比だけに限らず、複数の項目(pHやEC、土壌の物理性など)で捉える必要があります。

また、C/N比は分解の傾向を知る手掛かりになりますが、炭素がどのような物質として含まれているかも重要です。微生物が利用しやすい「糖」と、分解に時間のかかる「木質成分」では、同じようには働きません。

たとえば、生モミガラはC/N比が高いものの、難分解性の成分が多いため、土中で急激に分解されず、窒素飢餓が起こりにくいとされています。加えて、微生物による有機物の分解は地温、水分、酸素などにも左右されます。同じ資材でも、季節や圃場条件によって窒素の効き方が変わることを踏まえて施用します。

資材を選ぶ際は、窒素供給を重視するのか、土壌に有機物を補うのか、まずは目的を明確にします。そして名称だけで肥効を判断せず、製品ごとの表示や分析値を確認・利用してください。C/N比を土壌診断や作物の生育と合わせて読むことで、資材の特徴を生かした土づくりにつなげられます。

 

参考文献:「現代農業2020年10月号」

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