ニッチ野菜+スマート農業=市場での競争力アップ!?

ニッチ野菜+スマート農業=市場での競争力アップ!?

かつては限られた人だけが使っていたパクチーや空芯菜といった野菜やハーブがいまや一般家庭や飲食店で定番になっています。また近年、日本に在留する外国人労働者の数が大きく増加しており、技能実習生や就労者の増加によって各地で多様な食文化へのニーズが高まっています。こうした背景から、日本国内ではこれまであまり知られてこなかった野菜やハーブの需要が拡大しています。

単なる一時的なブームではなく、在留外国人の増加という社会構造の変化に根ざしたこの需要は、今後も継続的な成長が期待できる市場といえます。

 

 

ニッチ野菜栽培の魅力

ニッチ野菜+スマート農業=市場での競争力アップ!?|画像1

 

食の多様化が進む中、農作物においてもその流れは加速しています。エスニック料理など、日本国内で世界の食文化を味わえる中、かつては限られた市場にしか流通していなかったニッチ野菜の需要が高まってきました。そして、こうした作物の栽培に挑戦する農家が増えています。

たとえば大阪府富田林市の事例では、地域に住むベトナム人の食生活を支えたいという思いを背景に、ある農家が東南アジア野菜の栽培を開始。ベトナム料理に欠かせないラクサリーフ(ベトナムミント)やパクチーなどの栽培を手がけ、地域ニーズに応えながら新たな販路を築いています。

また静岡県では重油価格の高騰を機に、マスクメロン栽培からパクチーへと転作する農家が急増。現在では磐田市・袋井市周辺が全国有数のパクチー産地となっています。ガラス温室での栽培により1年を通じて出荷が可能で、特に冬場は暖房を使わずに栽培できるため、経済的にも有利です。

ニッチ野菜の栽培は、単に珍しい野菜を育てるだけではなく、「消費者の食のニーズに応える」「地域の特性を活かす」「経済的な合理性を追求する」といった多面的な意義を持っているといえます。

 

 

ニッチ野菜+スマート農業の活用

ニッチ野菜+スマート農業=市場での競争力アップ!?|画像2

 

ニッチ野菜の生産において、スマート農業の導入は多くの利点をもたらします。パクチーやスペアミントなど、エスニック料理などに用いられるニッチ野菜の栽培では、気候や生育環境の管理が重要です。そこで、スマート技術の活用が効果を発揮します。

たとえばパクチーは、暑さに強いイメージを抱く一方、実際は高温多湿に弱く、夏季の栽培には温度や湿度の厳密な管理が求められます。そこでセンサーやIoT技術を使い、リアルタイムで環境データを取得し、自動的に換気や灌水を調整することで品質の安定と収量の向上が期待できます。

そのほか、病害虫の早期発見や適切な施肥管理の実現にも役立ちます。特にスペアミントはうどんこ病などの病害に注意が必要なため、環境モニタリングやデータ分析といった形でのスマート農業の導入は予防的な対策につながります。

もちろん、スマート農業は作業の効率化にも寄与します。

エスニック料理の定着や外国人労働者の増加といった社会の変化にともない、ニッチ野菜の需要は今後さらに拡大していくことが予想されます。こうしたニッチ野菜の安定供給と品質向上を実現し、市場での競争力を高める手段としてスマート農業の導入は有効といえます。

ニッチ野菜×スマート農業という組み合わせは、省力化と経済性の両立を実現する可能性を秘めています。

 

参照サイト

コラムカテゴリの最新記事