夏場のほうれん草栽培のコツ。特徴を掴み、新たな収入源に!

夏場のほうれん草栽培のコツ。特徴を掴み、新たな収入源に!

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昨今、夏日や猛暑日が目立ちます。

気象庁によると、最高気温が35度以上となる「猛暑日」は20世紀末と比較した時、21世紀末には年間で7~8日増えると予測されています。
また「ゲリラ豪雨」と呼ばれる突発的な大雨も増えていますね。暑さや特徴的な雨は、農作物に良いものとは決して言えません。暑さや豪雨によって、農作物がうまく育たない・収穫できないことは農家にとって致命的なことです。
また消費者にとっても、市場に出回る農作物の数が減ることで価格が上がれば、生活が苦しくなってしまいます。

そんな中、夏日にも耐えられる野菜に注目が集まっています。夏日や猛暑日が目立つ昨今、安心して育てられる野菜に期待が高まっているのです。今回は中でも注目株である「ほうれん草」についてご紹介いたします。

 

夏場のほうれん草の特徴を知る

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昨今注目が集まっている「夏場のほうれん草」ですが、ほうれん草は基本的に冷涼な気候を好みます。元来ほうれん草は夏場に種を蒔いても発芽しづらい特徴があります。

また農研機構の研究報告によると、「夏ホウレンソウは午前中の強光を嫌う」とあります。夏にほうれん草を育てる際、その暑さ対策としてハウスを遮光する技術があります。しかし生育初期に遮光した後、遮光材を除去するとストレスが高まる特徴があります。遮光材を除去するタイミングを誤ると、ストレスが高まり、葉焼けを起こす・収穫量が減るなどの問題が発生しやすいのです。この研究では部分的に遮光する実験を行い、午前中だけ光を弱めることで軟弱徒長が抑制されることがわかりました。

夏場に育てられるほうれん草として販売されている種は、すでに品種改良されているものも多く、また夏場に育てるための農業資材などもありますから、上記の研究報告ほどシビアに特徴を捉える必要はないと考えています。しかし、農作物の特徴を知ることで、栽培のしやすさや収量には影響が出ることでしょう。冷涼な気候を好むほうれん草元来の特徴も、知っておいて損はないはずです。

 

夏場のほうれん草の発芽率を高めよう

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重要なのは「発芽率」を高めることです。
発芽に重要なのは土壌温度と水分です。最適温度でないと発芽は抑制されてしまいます。種を蒔いた後の土の鎮圧も重要で、土と種の接触面積が小さいと、必要な水分の移行がうまくいかず、発芽しにくくなると言われています。ほうれん草の生育には、

・発芽適温は15~20℃(最低でも4℃)
・最適な地下水位は60~100cm
・土はやや乾き気味が好ましい→ただし、発芽までは水を切らさないこと
・酸性土壌に弱く、pHが5.0以下になると生育不良に陥る
が挙げられます。

これらの条件をふまえて「発芽率」を高めるよう努めましょう。

また「ECを低くすること」も発芽率をあげる1つの方法として挙げられています。
ECは土壌診断項目のひとつであり、土壌中の塩類濃度を指します。ECの値が大きいと硝酸態窒素の量が多くなり、濃度障害が起きてしまいます。施肥や土壌改良剤を投入するとECが上がってしまうので、「ECを低くする」を意識する場合には、焦らずあまり土壌に手を加えすぎないよう努めましょう。

夏場など高温期に種を蒔く場合には「芽出しまき」という方法もあります。

 1,種を1日水に浸ける
 2,水を切り、湿った布で包む
 3,2,をポリ袋へ入れ冷蔵庫にて貯蔵
 4,1mmほど根が出たら種を蒔く→全体の1割程度の種から根が出ればOK

 

夏場のほうれん草に最適な農業資材がある

またユニークな農業資材に「ダイオネオシェード蒼快」というものがあります。
これはほうれん草専用につくられた資材で、特殊顔料により夏場のほうれん草栽培に適した“青色の光”を透過してくれるというものです。

青色の光が方品質なほうれん草を育てるのに役立ち、ビタミンCをはじめとするビタミン類の増加も期待されています。難点としては、生育スピードが遅くなることが挙げられます。しかし夏場のほうれん草のためにつくられた資材ですから、高品質な作物をつくる投資として、試してみる価値はありそうです。

 

夏場のほうれん草として品種改良されたものを選ぼう

夏日・猛暑日に対抗することができるほうれん草を育てるためには、品種改良された種を利用することも方法のひとつです。
サカタのタネが販売する春夏向けのほうれん草種子「ジャスティス」は、昨今の異常気象を背景に開発された品種です。特徴的なのは「長期間種まきができる」という点です。3月下旬から8月中旬まで種まきができるだけでなく、耐暑性、耐病性、収量性などの長所も網羅したバランスのいい種子となっています。あらかじめ暑さに対抗できる種や苗を活用することも、今後も増えていくであろう夏日・猛暑日に対応した農業のために大切なことです。

農作物の生理機能と季節が合致することで「旬の野菜」が収穫されてきましたが、異常気象などの影響で、その作物の栽培に最適な時期“以外”に栽培することはもう珍しくありません。植物そのものは、種を撒き、水を与えれば、「育つ」ことはできるでしょう。しかし農業は生業です。品質や収量を安定させ、経営として成り立たせる必要があります。
そんな折、季節を問わず育てることができれば、わたしたちが関与できない「気候・天候」に左右されることなく、消費者が満足できる農作物を提供することができるのです。夏場のほうれん草に限らず、今後その作物の最適な栽培時期“以外”に育てられる野菜が増えていくかもしれませんね。

 

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