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世界の有機農産物事情。注目高まる有機農産物、ある地域ではこんな政策も?!

世界の有機農産物事情。注目高まる有機農産物、ある地域ではこんな政策も?!

日本農業新聞の2019年11月26日の記事に「消費者の「有機農産物」への購買意欲が高まっている」とありました。農林水産省が「過去1年以内に有機食品を飲食した人たち」を対象に調査したところ、「週に1回以上食べる」と答えた人が3割以上を占めていました。

注目高まる有機農産物ですが、本記事では世界の有機農産物事情について調べてみました。

 

 

世界の有機農産物事情

世界の有機農産物事情。注目高まる有機農産物、ある地域ではこんな政策も?!|画像1

 

アメリカの事例

2019年1月に発表されたレポート「Organic farming is on the rise in the U.S.」によると、耕地面積に占める有機農業の比率は、高い順に、

  • バーモント州
  • カリフォルニア州
  • メーン州
  • ニューヨーク州

と続きました。

この結果がユニークなのは、政治的関心と有機農業が結びついているというところです。

有機農業の比率が高い場所は、環境問題に関心が強い「民主党」支持者が多い地域なのだとか。一方、「共和党」支持者が多い地域は有機農業があまり普及していない傾向にあります。「共和党」支持の人たちは、産業の輸出強化を重視し、遺伝子組み換え作物に肯定的な傾向にあるようです。

有機食品への関心が二分されているアメリカですが、アメリカの大手企業は有機食品と結びつき始めています。アマゾンは有機食品等を取り扱う大手スーパー・ホールフーズを2017年6月に買収しました。食品大手のゼネラル・ミルズは、2018年3月に約1万4千ヘクタールの慣行農地を有機に転換し、有機農産物を自社製品で使用する協定を農場と結んでいます。

イギリスの事例

イギリスの有機食品・飲料の売上高は右肩上がりです。2018年2月、イギリスの有機農業団体ソイル協会は、有機食品・飲料の売上高が22億ポンド(約3300億円)、1年間で6%成長したと発表しています。

小売店、個別宅配、スーパーマーケット、オンラインの売上と、全て増加傾向にあり、イギリスの食品市場の1.5%を占める規模に成長しています。

州全体を有機農業化したインド・シッキム州

インド・シッキム州は、2003年に「州全体を有機農業化」する取り組みを開始し、2016年に達成しています。シッキム州の有機農産物の生産は、インドの有機農産物生産の6.5%を占めています。

そんなシッキム州ですが、少々過激な法的措置も。

2018年4月1日、シッキム州は非有機農産物の州外からの輸入を禁止しました。化学農薬・肥料の使用により脅かされている健康的な生活と環境保護が目的です。シッキム州で大規模に生産されていないじゃがいもや玉ねぎといった野菜は対象外ですが、野菜や果実、調味料など27品目が輸入禁止となりました。州政府は非有機農産物を市場から押収し、廃棄処分しているといいます。

ただ、これを施行したことで、実施前から懸念されていた品不足や価格高騰が発生。州全体で野菜や果物が不足する事態となりました。

 

 

日本の有機農産物事情

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消費者の有機食品への関心が高まっている日本。有機食品の市場規模も広がりを見せています。農林水産省によると、2009年〜2017年の間に1300億円だった市場が1850億円へと成長しています。

とはいえ、世界と比較すると、日本の有機食品の売上高の割合はまだまだわずかなものです。

グローバル・オーガニック・トレード・ガイドによると「有機食品が農産物の売上高に占める割合」は

  • 日本 1.5%
  • アメリカ 5.5%
  • フランス 7.7%
  • ドイツ 10.4%

また「1人当たりの有機食品購入額」も

  • 日本人の購入額(約4.7ドル)
  • アメリカ人 日本人の15倍
  • フランス人 日本人の13倍
  • スイス人 日本人の34倍

と圧倒的な差が生じています。

冒頭で「「有機食品を週に1回以上食べる」と答えた人が3割以上を占めていた」とご紹介しましたが、調査対象が「過去1年以内に有機食品を飲食した人たち」だったことを考えると、まだまだ有機食品への認識が広がりきっていないとも考えられます。

生産者側のネックとしてよく挙げられるのが「有機JASマーク」の認定です。生産・販売等に関する細かなルールのみならず、取得にかかるコスト(年間10万円)も、有機農産物の生産が広まりにくい原因と言えるでしょう。有機農産物を生産しているにも関わらず申請していない農家も少なくありません。

また消費者側の意識の違いを唱える人もいます。農業研究者の篠原信氏は、日本の有機農産物は、「おいしい」「体によい」など消費者側のメリットが重視されていることを指摘しています。ヨーロッパでは「環境によい」ことが認識されているようです。

世界的に見て、日本は「オーガニック後進国」なのかもしれません。ですが、有機農業が広がる余力があるともいえます。昨今、有機食品への関心が高い消費者と生産者をつなげるサービスやアプリも多々登場しています。今後も注目の市場と言えるでしょう。

 

参考文献

  1. 有機食品 週1回以上飲食 3割超 増やしたい1位は生鮮野菜 農水省調査 日本農業新聞
  2. 【アメリカ農場視察リポート】有機農業の動向と日本との違い マイナビ農業
  3. 米アマゾン 有機スーパー大手ホールフーズを買収 有機農業ニュースクリップ
  4. 米国食品大手 1万4千ヘクタールを有機転換 有機農業ニュースクリップ
  5. 英国:有機市場は3千億円規模 年6%成長 有機農業ニュースクリップ
  6. No.352 世界の有機農業面積を拡大する4つの戦略(?) 西尾道徳の環境保全型農業レポート 
  7. インド・シッキム州 非有機農産物の輸入・販売を禁止 有機農業ニュースクリップ
  8. 「オーガニック後進国」日本の残念すぎる事実 東洋経済オンライン
  9. 日本で有機農業が伸びない理由

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